2022/04/07 10:44
<マリメッコ>などのショップの内装を手掛ける「設計事務所ima」と、創業100年を超える老舗木工家具メーカー「飛騨産業」による、猫家具“medel〈メデル〉”が11月15日から受注販売をスタート。円や直線を活かした幾何学的なフォルムと、高さ”90cm”のヒントは、段ボールにあったという。デザインしたimaのユニット、小林恭さん、小林マナさん夫妻が教えてくれた。
“medel〈メデル〉”の高さ90cmの天板に乗る、小林家のマロン(10才)。
勢いよく飛び降りる、ご機嫌なマロン。
小林マナ:友達の家で猫が生まれたと聞いて、引き取らせてもらったんです。それが20年ほど前のこと。
小林恭:それを機に、僕も猫好きになりました。それまではツンとしているイメージだったけれど、すごく懐いてくれるものなんだなと気がついて可愛くなってきて。
小林マナ:この10年ほどは「設計事務所ima」としても動物愛護団体のボランティアに参加しています。そんなこともあって、動物にまつわる家具を作ってみたいと思ってきました。
椅子に座れば、ちょうど目が合う位置に猫が。
猫を愛でるのにちょうどいい高さは、
段ボール3箱分=90cm。
小林マナ:5年くらい前の話になるのですが、今住んでいる家ができる直前の半年間ほどだけ借家暮らしをしていたんです。あくまで一時的な住まいだったこともあって、段ボールは山積みのままにしていました。3段分でだいたい90cmと、天板の高さが私の腰丈より少し上くらい。そこに猫が乗ると、とっても触りやすいんです。通りすがりについ立ち止まって、可愛がっちゃうんですよ。
小林恭:そこで、今回作った猫家具“medel〈メデル〉”も高さを90cmにしました。これくらいなら万が一、天板から落ちても身の危険が少ないですしね。
小林マナ:今我が家で暮らしているマロンはもう10才。人間で言えば50才過ぎで、その上結構どんくさくもあって。あんまり高いところに登ると見ていて不安になるんですよ。
小林恭:僕らもマロンも同じように年を取るけれど、ひと昔前とは違ってずいぶん長生きするようになりました。そんな長寿の時代にも寄り添うような家具になったと思います。というのも、老いつつあるマロンだって無理せず登れるように作ったから。使い勝手や強度を考えて、下の段の円を大きくしたり、家具自体が倒れないように土台は楕円形にしたり。
小林マナ:きっかけが段ボールだったので、そのフォルムも丸太を積み上げるようなイメージから考えてはじめました。
3Dプリンターで試作した模型がいろいろと。
小林恭:3Dプリンターでたくさん模型を作ってね。丸太にはじまり、円、楕円、角材......といろんな要素をミックスさせながらデザインができてきて。長年木を使って家具を作り続けている「飛騨産業」さんとの協業だからこそ、材料にもこだわることができました。家具を作るときに出る短材や幅の狭い材を使っているんです。
小林マナ:そうした短材や幅の狭い材を粉砕・圧縮して新たにボードを作ったりするのもいいことだけど、そこまでしなくてもちゃんと使えるものだってあるんです。そういうものを見つけて繋げて活かすことは、私たちがこれまで取り組んできた保護犬の引き取り活動にも通ずるような気がしています。
猫を愛でつつ、下の段をコーヒーテーブルのようにも使える。
猫”家具”だから、いつもの
コーヒー、ビールも楽しめる。
小林恭:もちろん猫家具なのだけれど、日々の暮らしに馴染むインテリアとしても使えるようにもデザインしています。
小林マナ:ソファの隣に置けば下の段はコーヒーテーブルのように使えたり。
小林恭:僕は上の段にちょこっとビールを置いて、マロンを愛でつつ1杯やってます。
小林マナ:猫を肴にね(笑)
Photo / Yuji Imai
Text / Ryota Mukai
商品名:猫家具 medel〈メデル〉
価 格:¥187,000(税込)
サイズ / 塗色 / 材質:W46×D60×H90(cm)18.2kg / NY色(ポリウレタン樹脂塗装)/ クリ
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プロフィール
設計事務所ima
1998年に活動を始めた、小林恭(こばやし・たかし)と小林マナ(こばやし・まな)夫妻のデザインユニット。<マリメッコ><イル
ビゾンテ>などの店舗デザインを手掛ける。近年はペットにまつわるプロダクトデザインも取り組む。写真は、2016年に設計・完成した自邸で事務所の「井の頭ハウス」で撮影した。
http://ima-ima.com/