2022/11/14 16:23
箔や染めの技法を使い、テキスタイルを通して表現活動を行うデザイナーの藤澤ゆきさん。自身のレーベル〈YUKI FUJISAWA〉を展開する傍ら、猫に関するプロジェクト〈urarakacat〉を始動するなど、大の猫好きとして知られている。今回は一緒に暮らす愛猫の“ねこさん”に “medel〈メデル〉”を体験してもらうことに。飼い主目線と猫目線の両方からその魅力を語ってもらった。
藤澤ゆきさんの愛猫の“ねこさん”は推定9歳のメス。まんまるの目と小さな耳がフクロウのよう。
「猫と一緒に暮らしたい」。
叶えてくれた“ねこさん”との出会い。
――:“ねこさん”って、すごくストレートで、かわいいお名前ですね(笑)。
藤澤ゆき:ふふ、よく言われます(笑)。ねこさんは今、推定9歳なのですが、2、3歳くらいのときに目黒川のほとりにじっとしているところを偶然見つけたんです。水の近くで危ないし、どうしよう……と思っていたら、近所の猫好きのおじさんが長靴を持ってやってきて、救助してくれたんです。
――:それはよかった……。捨て猫だったのでしょうか?
藤澤ゆき:事情はわからないのですが、痩せて、ノミもたくさんついていたので、長い間外で暮らしていたのかなと思いました。警察に届けを出して、飼い主が現れるまで一緒に暮らすことにしました。
――:名前はそのタイミングでつけたんですか?
藤澤ゆき:はい。でも、もし飼い主がいたらお別れすることになるので、へたに名前をつけると愛着が湧いて辛いかなとも思って……。それで、とりあえず“ねこさん”と呼んでいました。結局、保管期間の3ヶ月が経過しても飼い主が現れなかったのでうちの子になったのですが、本人も名前に慣れていた様子だったので、そのままなんです。
――:そんな経緯があったのですね。猫と暮らすことに不安はありませんでしたか?
藤澤ゆき:幼い頃から猫と一緒に暮らしていたので、大歓迎でした。ちょうど実家の猫が18歳で亡くなって半年くらいの頃で、いつも「どこかに猫がいないかな……」なんて考えていて。だから、ねこさんとの偶然の出会いは嬉しかったですね。
もたれかかるのが好きな猫さんのために、壁沿いに設置。天然木の美しい木目が部屋の雰囲気にもよく合う。
脚が弱ってきたシニア猫でも登れる。
90cmは人間にも猫にもやさしい高さ。
――:ねこさんはすぐに藤澤さんとの暮らしに慣れましたか?
藤澤ゆき:すごく怖がりな性格でしたが、徐々に慣れてきました。保護してすぐのときは、縄張りを主張するスプレー行動があって、あちこちにおしっこをかけちゃって大変でしたが、正式にうちの子になって避妊手術をしてからは落ち着きました。
――:一緒に暮らすにあたって、工夫していることはありますか?
藤澤ゆき:元々のんびりした性格もあるのですが、年を重ねてから脚の調子が悪くなって、高い所までジャンプしなくなったんです。ねこさんは今9歳とシニアに近付いてきて脚力もさらに衰えてきているので、日々のなかで無理なく運動できるよう心がけています。
――:今回、“medel〈メデル〉” を体験していただきましたが、いかがでしたか?
藤澤ゆき:“medel〈メデル〉”のデザインを手がけている設計事務所ima の小林マナさんとは私が学生時代からお世話になっていて。以前、マナさんのご自宅にお邪魔した時に実物を見て、これならねこさんでも登れるかもと思ったんです。なので実際に使える機会を得られて、嬉しかったです。ねこさんも気に入っている様子です。
――:“medel〈メデル〉”は高さ90cmですが、ねこさん的にはどうですか?
藤澤ゆき:ひと目見て、すぐに登りました! 1段目と2段目の段差もちょうどいいみたいで、最上段の上で、のんびり寝ていました。
――:それはよかったです! ほかにどんなところが気に入っている様子ですか?
藤澤ゆき:円や楕円、角材など、いろいろな形が組み合わさってできているのが面白いのか、エッジの部分に頭を擦り付けたり、丸くなっている所に体を押し当てたり、セルフマッサージしているようなことが多いですね。
――:ツボ押しみたいですね(笑)。
藤澤ゆき:そうそう、そんな感じで、気持ちよさそうにしています。
チェアはデンマークの家具デザイナー・ハンス・J・ウェグナーのもの。テーブルは日本のビンテージ。
“Japandi〈ジャパンディ〉”スタイルの藤澤さんのリビング。
――:飼い主側の目線では“medel〈メデル〉”のどんなところがいいなと思いましたか?
藤澤ゆき:まずはデザインが素敵ですね。キャットタワーはファンシーな雰囲気や人工的な素材も多いですが、その点“medel〈メデル〉”は天然木なので、インテリアにも馴染みがいいですね。
――:藤澤さんのお宅のインテリアは、どんな雰囲気なんですか?
藤澤ゆき:日本と北欧をミックスさせた“Japandi〈ジャパンディ〉”スタイルです。木家具が中心になっていて、樹種も作られた年代も様々に集めています。“medel〈メデル〉”を置いたことで、また新しい木の表情が加わって、とてもいいなと思っています。
――:どんな場所に置いているんですか?
藤澤ゆき:リビングです。ねこさんは登るだけでなく、タワーにもたれかかるのも好きなので、壁際に設置して、壁とタワーがL字になるような感じにしています。マナさんから「コーヒーテーブルにもできるよ」と聞いたので、ソファの横に設置していたこともありますね。
――:サイドテーブル的な使い方、いいですね!
藤澤ゆき:1段目の天板がちょうどソファの肘かけくらいの高さなので、飲み物を置くのにちょうどいいんですよね。それで2段目にねこさんが座って、一緒にくつろぐスタイル。
――:それ、楽しそうです。
藤澤ゆき:キャットタワーであり、サイドテーブルであり、オブジェのようでもある存在ですよね。猫好きの友人が自宅に遊びに来ると、どこのタワー?と聞かれました。
――:職人がひとつひとつ手作りする“medel〈メデル〉”は耐久性もお墨付きです。家具としても、新しい猫さんのタワーとしても、長く愛用してもらえるはずです。
藤澤ゆき:それも大きな魅力ですね。長く使っていくうちに木の表情も変わってくると思います。そういう経年変化を楽しめるのも天然木のいいところだと思います。
(プロフィール)
藤澤ゆき(ふじさわ・ゆき)
箔や染めでファッションとしての新しい価値を提案するテキスタイル/デザインレーベル「YUKI FUJISAWA (ユキ フジサワ)」代表。2016年度TOKYO新人デザイナーファッション大賞受賞。ねこさんが暮らしやすいようリノベーションした家で暮らす。